超高層ビルがびっちり建ち並ぶ
これらビルの分布は、それらを支える土台…つまり「地層」を反映しています。
かの有名な「超大陸パンゲア」よりもさらに古い「ロディニア」と呼ばれる超大陸の時代、10億年ほど前に大陸同士が衝突して盛り上がって出来た「グレンヴィル造山帯」はアメリカ東部からメキシコ湾、はてはスコットランドも含めて巨大な山脈を形作った
これが、長い年月をかけて風雨によって侵食されていき、今日アメリカ東岸部に残る基盤となった。
大陸同士の衝突というとてつもない力、自然の万力と、激烈な加熱によって変成したのが「片岩(変成岩)」であり
これはとてつもなく丈夫で堅いのです
それがニューヨーク市の地中に広がっており
超高層ビルを支える土台となっているのです
逆に?
英国ロンドンは地質学的にニューヨークの対極にある都市です
イギリスも、かつての大昔「ドーバー海峡・カレー」をくっつけていた陸橋が、アルプス山脈の押し上げ(アフリカ大陸の衝突)によって引き剥がされた
このとき、アメリカのと同様に強い力と熱によって変成岩が出来上がったわけだが…
テーブルに広げられた「テーブルクロス」を押すと
わっしゃ~~~って「しわ」になっていくのと同じように
大陸同士が衝突すると、褶曲によって「地層のしわ」が出来る
そのしわの「溝(凹み)」の部分は水がたまりやすくて「粘土質」になりやすい
アメリカ一帯とニューヨークの地層は「しわの上部(凸場)」であったため堅くて丈夫な片岩が土台となったが
イギリス・ロンドンの大地は「しわの溝」の部分が土台となっている(テムズ川があるのもこのため)
すると、粘土状の軟らかい層の上に高い建物(重たいもの)を建てることは難しく
これが、ロンドンで高層ビルがとても少ない理由となっている
※ロンドンに高層ビルを建てる場合、まず地層部分の軟らかい粘土を取り除きを基底を堅くしてから建てなければならないため、凄まじくお金がかかるのです
そしてここからが面白い話
高層ビルを建てるには不向きだったが
ロンドンのこの分厚い粘土の層は「トンネルを掘るには理想的」だったのです
容易に掘れるくらい軟らかいが、だがしかし、水を通さないためトンネルを保護することになる粘土の層。
ロンドンでは世界で最初の「地下鉄路線」が1863年に建設されました。
今日のロンドンの地下鉄ネットワークは全長400キロ以上といわれています
この、アメリカの堅い岩とは正反対の「軟らかい粘土の層」の上にあったロンドン(北部)で地下鉄網が発達し、南部では地下鉄がずっと少ないのかも同様に説明することが出来ます。
南部は砂と砂利からなる地層でトンネルを掘るには不向きすぎたのです
またもうひとつ面白い話
地下の洞窟は通常「ひんやりしていて涼しい」
しかしロンドンの地下鉄は不快なほど蒸し暑い
実際のところ、トンネルが掘られた初期の頃はとても涼しかったのです
しかし、地下鉄から発せられる様々な熱、蒸気、そして大勢の人間が放出する熱がトンネルの内部にこもってしまい「粘土は、密度が高く、断熱性がとても高いため」熱の逃げ場が無くなり地下鉄内に熱がこもり続けているため、あの凄まじく不快な蒸し暑さになるのです